
借地契約では、建物の増改築をする場合、地主さんの承諾を得なければならないと定められていることが殆どです。
建物が建て替えられると、存続期間が延び、地主さんは土地の返還を受ける時期が大幅に延びる不利益を受けます。
そこで、殆どの借地契約では、建物の増改築をするときはあらかじめ地主の承諾を得なければならないと定められています。
増改築に地主さんの承諾を得るには、承諾料の支払が必要になるのが一般です。
地主さん次第ですが、無償で承諾してくれる地主さんは少数派で、多くの場合、所定の承諾料の支払と引き換えに、承諾書に署名押印をもらって、増改築に着手することになります。
増改築の承諾料の額は、法令等で決まっている訳ではなく、個々の地主さんに委ねられています。お寺や神社など大規模な地主さんは、独自に承諾料の算定基準を設けています。
承諾料の額は、借地人の方から、増改築計画の概要、床面積の増減や構造、材質、増改築後の建物の用途等の資料を地主さんに提出し、交渉することになります。
承諾料について協議がまとまらない場合、裁判所の借地非訟手続における運用基準が一つの指標として参考になります。
東京地裁の借地非訟専門部では、増改築の承諾料として、更地価格の3%相当額を原則とし、床面積の増加の程度や増改築後の建物の利用方法(収益物件への建替え等)を考慮して5%程度まで増額をする運用になっています。
増改築の資金を金融機関で借り入れる場合、金融機関から、融資の条件として、建物への抵当権の設定と、万が一建物が競売になった場合に買受人に対する借地権の譲渡について地主さんの承諾があることを求められる場合があります。
増改築について承諾が得られない場合、借地人は裁判所の借地非訟手続を申し立て、地主さんの承諾に代わる許可を求めることができますが、抵当権の設定については、裁判で承諾に代わる許可を求める制度がありません。
増改築資金にローンを利用する場合、抵当権の設定の承諾も含めて地主さんとの間で合意をまとめる必要があります。
抵当権の設定については、地主さんの承諾に代わる許可の制度がない。
地主さんに増改築の承諾を求めたが断られた、承諾料の額で折り合わないという場合、裁判所の借地非訟手続を利用することが考えられます。
借地人が予定している増改築が土地の通常の利用上相当である等と認められれば、地主さんに代わって裁判所が増改築を許可するという制度です。
ただし、許可に当たっては、相応の承諾料(原則として更地価格の3%相当額、増改築の内容、規模によって増減)の支払が条件となります。無償で増改築を認めてくれる訳ではありませんので、注意が必要です。
借地非訟手続を申立てても、相応の承諾料の支払は必要
借地人の方が絶対に避けなければならないのが、地主さんに無断で増改築工事を始めることです。
増改築の制限がある借地契約では、ほぼ例外なく、無断増改築を借地契約の解除原因とする条項が入っています。
承諾料の支払を惜しんだ結果、増改築どころか借地権そのものを失い、建物を取り壊して出て行かなければならない事態になりかねません。必ず、地主さんの承諾を取り付けてから工事に入りましょう。
無断増改築=借地契約の解除原因
平成21年2月、ここ自由が丘に事務所を開設して以来、相続・遺産分割、借地権や底地の問題、様々な契約交渉の代行やアドバイス業務に取り組んでまいりました。
トラブルの解決は簡単ではなく、依頼者の方にご満足いただける結果を出せないこともありますが、どんな案件でも、時間をかけ、頭が曲がるくらい必死に考える、これだけは忘れないようにしています。
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弁護士 大江 真人
昭和45年生まれ
平成5年3月 青山学院大学法学部卒業
複数の民間企業を経て、平成20年9月、司法研修所修了(旧61期)、弁護士登録
東京弁護士会(登録番号:37691)
夫の遺産について、夫の兄弟との遺産分割協議をお願いしました。夫の兄弟から理不尽な要求をされ、大変悔しい思いをしましたが、先生には最終的には納得できる内容でまとめて頂き、感謝しております。
借地権の処分でお世話になりました。予め説明を受けていたとおり、私の希望通りの解決とはなりませんでしたが、依頼してよかったです。良い情報も悪い情報もマメに知らせてくれるので、納得して受け入れることができました。
契約書類の作成やレビューを継続的にお願いしています。取引先から渡されるドラフトのどこに問題があるかだけでなく、取引先との関係を壊さないようにクリアするにはどうすればよいかを一緒に考えてくれるので、助かっています。
相続・遺産分割、借地権と底地の問題、契約法務サポートについて豊富な実績があります。その一部を紹介させて頂きます。お悩みの案件と似た事例がないか探してみてください。
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