借地権と底地の交換とは

借地権と底地の交換とは、借地人が借地権の一部を地主に譲渡し、地主は底地所有権の一部を借地人に譲渡する取引のことです。
借地人は底地所有権の一部を取得し、地主は借地の一部を返してもらうことになるので、１つの土地の借地権と底地所有権が、２つの（以前より小さい）完全な土地所有権に変換されます。

 

 

 

代金の支払が不要

等価交換の最大のメリットは、借地人、地主ともに、代金を支払うことなく完全な所有権を取得できることです。１筆の土地を２筆の土地に分けるため測量や分筆登記の費用は必要になりますが、完全な所有権として資産価値が向上することを考えれば、大した支出ではありません。

 

なお、交換後に取得する土地の評価額の差が大きい場合は、差額分に相当する金銭（交換差金）が支払われる場合もあります。

 

狭い借地には不向き

他方で、デメリットもあります。等価交換は１つの土地上の借地権と底地所有権を２つの土地所有権に転換させる取引なので、当然ですが、誕生する２つの土地の面積は以前の土地よりも狭くなります。もともとの借地の面積が小さい場合、等価交換するとまともな建物が建てられない（地域によっては、敷地面積の最低限度に満たない）事態も考えられます。このように、借地面積が狭いケースには向かないと言えます。

 

 

建物の解体が必要

等価交換では、借地人の方は借地の一部を地主さんに返すことによって完全な所有権を得るのですから、建物は解体して更地で渡します。借地人にとっては、建物の解体費用（又は建替費用）が必要になることも留意点の１つです。

 

 

交渉のキモは土地の線引き

等価交換の場合、借地人、地主双方の最大の関心事は、交換後に生まれる２つの土地の線引きです。どの位置にどのように線引きするかによって、土地の面積や評価額が変わってくるためです。
交換比率は５０：５０とされるのが一般ですが、交換後に生まれる２つの土地の条件が全く同じということは少ないです。前面道路の幅員が違ったり一方が角地だったりすると、評価額（資産価値）に差が出ます。そのため、どちらを取得するか借地人と地主で意見が対立し、交渉が進まないことも少なくありません。

 

私が強く申し上げたいのは、借地人の方も地主さんも「この等価交換の話が壊れたらどうなるか？」をよく考えて頂きたいということです。借地権、底地単体で売却したのでは、残念ながら十分な対価は得られません。一度話が壊れてしまえば、交渉が再開されることはほぼありません。そうであれば、土地の線引きで多少譲歩しても、交換を実現させることが現実的な選択肢ではないかと思います。

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