
「交渉技法」といっても、マジックや催眠術のように、相手を一瞬のうちに合意させるようなものではありません。そのような方法があるなら私も知りたいです。
ここでご紹介するのはどれも皆様が日常的に見聞きし、無意識のうちに使っている「あるある」な手法ばかりです。こうした古典的な手法が現代まで残っているのは、人間の心理的な反応や傾向をうまく突いている面があり、真正面から要望をぶつけ合うより合意に至る可能性がそれなりに高まるからと考えられます。何か奇をてらったやり方を考えるよりも、まずは、こうした古典的な交渉技法の意図、考え方を理解しましょう。
相手が受け入れないであろう条件をあえて提示し、断られたら最初よりも譲歩した修正案を提示する手法。最初の提案は「ダミー」に過ぎず、譲歩したと見せかけて「本命」の提案を提示する。
これは、皆さん日常的に見聞きし、無意識のうちに実行している手法と思われます。相手が値切ってくる、交渉して来るのを予め想定して、あえて高めの条件から交渉を始める訳です。
納期を2週間早めて欲しいのですが・・
無理ですね
じゃあ、何とか1週間早めてもらえませんか?
う~ん。やってみます。
上記の例では、「2週間」はダミーの条件で、「1週間」が本命です。最初から1週間で提示すると、そこから更に交渉が入るのは目に見えています。なので、断られるのを承知で始めに2週間と提示する訳ですね。
「ドアインザフェイス」で最初は高いボールを投げるとしても、相手もそれは承知の上で、あえて低いボールを投げてきます。
例えば、最低でも単価10万円で出したい製品について、最初に12万円と提示したところ、相手から「単価6万円なら買います」と言われた場合、どうしたらよいでしょうか?
こうした場合、「6万円に近い数字を出さないといけないのでは?」といった気持ちになりがちです。これが「アンカリング効果」です。
人間は、相手から何らかの情報や条件を提示されると、無意識のうちにその情報や条件に引きずられる傾向があるとされる。
提示された情報や条件があたかも船の碇(anchor)のように作用することから、このように呼ばれる。
相手の回答に焦り「じゃあ7万円でどうですか?」などと言ってしまえば、まんまと相手のアンカリングにはまったことになります。
相手からシビアな回答があったら、「アンカリングを狙っているな」と冷静に受け止め、当方の妥結範囲に収まるよう対案を出していくことが肝要です。
最初にサービスを提供して関係を作り、目的とする契約成立の可能性を高めようとする手法。
まずはドアに足を入れて閉められないようにし、そこからが本番というイメージでしょうか。
この手法の典型が「初回無料体験」です。個人差があると思いますが、特に日本人は「え、無料体験でここまでやってもらえるの?」ぐらいに色々サービスを受けると、その後の関係をピシャリと断つことに躊躇する人は多いと思います。若干語弊があるかも知れませんが、そうした心理的傾向を利用して契約に持ち込む手法と言えそうです。
最初の提案に納得しない相手に対し、好条件を後から追加提示する手法。こちらが提示した価格に相手が渋っているときに、「わかった。お客さんだけ特別に、これをオマケで付けます」というやり方が典型です。
相手が魅力的と感じるであろう好条件をあえて出さずに残しておき、交渉の過程でタイミングを見計らって追加するのがこの手法のポイントです。追加提示する好条件は、最初から後出しするつもりで伏せているだけなのですが、相手には「自分の交渉の結果オマケしてもらった、得した」という錯覚が生じます。満足感が得られ、合意に至りやすくなるという訳です。
2名以上の交渉担当者が、相手に好意的・同情的な姿勢を示す役(グッドコップ)と、敵対的な姿勢を示す役(バッドコップ)を演じて交渉する技法です。その名のとおり、警察の取調べに由来します。バッドコップが厳しい条件を突きつけ、相手が断ると、グッドコップがやや譲歩した条件を提示します。相手はグッドコップに好感を抱いていることが多いので、その好意に付け込んで合意を促すわけです。
相手企業の担当者が「私は御社の提示条件でよいと思っていますが、上司や法務部が納得しません。」「私が説得しますので、少し譲って頂いた案で合意できませんか?」などと言って合意を促すのがこの技法の典型です。理解ある風の担当者がグッドコップで、上司や法務部がバッドコップです。
この手法の特徴は、グッドコップの提示する妥協案も「そんなに譲っていない」ところです。相手は最初からグッドコップの出す案での妥結を狙っており、グッドコップを味方だと誤解させて譲歩を引き出す狙いがあります。
提案に期限を設け、相手に「合意するなら今しかない」と思わせて合意を迫る手法。「今だけ」と言われると、本当は今だけじゃなくても、今合意しないと取引できないのではないかという不安を覚える方も多いと思います。それを利用するのがこの手法です。
弁護士は、この手法を頻繁に用います。「●週間以内に支払わないと法的措置を講じて解決を図ります」という例の文言です。部屋探しをしていて良い物件が見つかったときに、仲介の担当の方から「他にも気に入っている人がいるので、早く決めた方がいいですよ」などと言われるのもこの手法です。
平成21年2月、ここ自由が丘に事務所を開設して以来、相続・遺産分割、借地権や底地の問題、様々な契約交渉の代行やアドバイス業務に取り組んでまいりました。
トラブルの解決は簡単ではなく、依頼者の方にご満足いただける結果を出せないこともありますが、どんな案件でも、時間をかけ、頭が曲がるくらい必死に考える、これだけは忘れないようにしています。
相続や遺産分割、借地権や底地の問題、契約の問題などでお悩みの方がおられましたら、当事務所の法律相談のご利用をご検討ください。
弁護士 大江 真人
昭和45年生まれ
平成5年3月 青山学院大学法学部卒業
複数の民間企業を経て、平成20年9月、司法研修所修了(旧61期)、弁護士登録
東京弁護士会(登録番号:37691)
夫の遺産について、夫の兄弟との遺産分割協議をお願いしました。夫の兄弟から理不尽な要求をされ、大変悔しい思いをしましたが、先生には最終的には納得できる内容でまとめて頂き、感謝しております。
借地権の処分でお世話になりました。予め説明を受けていたとおり、私の希望通りの解決とはなりませんでしたが、依頼してよかったです。良い情報も悪い情報もマメに知らせてくれるので、納得して受け入れることができました。
契約書類の作成やレビューを継続的にお願いしています。取引先から渡されるドラフトのどこに問題があるかだけでなく、取引先との関係を壊さないようにクリアするにはどうすればよいかを一緒に考えてくれるので、助かっています。
相続・遺産分割、借地権と底地の問題、契約法務サポートについて豊富な実績があります。その一部を紹介させて頂きます。お悩みの案件と似た事例がないか探してみてください。
随時受付中です。
プライバシー保持の観点から、全て予約制とさせて頂いております。事務所にお越し頂いてのご相談となります。 お電話やメールによるご相談は承っておりません。予めご了承下さい。
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